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カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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ハーベストパーティーでバイオダイナミックの話。。。

アメリカでは、これからホリデーシーズンと呼ばれる時期に入る。
Thanksgiving, そして Christmas  と、アメリカ人の最も好きな休日が続く。
そして、いろいろなパーティーが催される。
ソノマ、ナパのワインカントリーでは、ハーベストパーティーがたけなわだ。

先日、Dutcher Crossing Wineryのハーベストパーティーに招かれた。
このワイナリーのオーナー、デボラはとても聡明な女性だ。

パーティーはデボラの自宅で行われた。
ただ、呆れるほどの豪邸で、どこかの映画で見たような立派な内装だ。

(ワイン業界で成功しても、これほど立派な家は建てられない。)

ワイナリーの経営者は異業種からやってきた人が多い。
医者、弁護士、科学者、IT関係など。。。。
他の仕事でお金を稼いで、
ワイナリーのオーナーになるのが普通のパターンだ。
(ワイナリーでがんばって働いてもお金はたまらない。)

デボラの場合、ウィスコンシンに住む父親が事業で成功し、
娘のクリスマスプレゼント、あるいはバースデイプレゼントとして、
ワイナリーと豪邸を与えられたと聞いている。
 
なんともアメリカらしいというか、うらやましい話だ。

今回招待されたのは、
ワイナリーに葡萄を収めているグロワー(ヴィンヤードオーナー)だけだ。
グローワーだけあって、ブドウ栽培の話に花が咲く。


それゆえ、先週、バイオダイナミック・ファンの方からemailをもらったことを話してみた。
グローワーの中に、バイオダイナミックに詳しい ジョン がいた。
バイオダイナミックについては、私も一通りの知識をつけたが彼には遠く及ばない。
10年ほど前、彼は実践してみようと思い、よく勉強したそうだ。
しかし、勉強すればするほど、実践しようという気は薄れていったという。

ジョンがいろいろ文献を調べて行くうちに、
スタイナーが提唱した「教義」が都合のよいように拡大解釈されていたり、「
教義」に相反することが多々あるという。
スタイナー自身の「教義」の一部が、実践するのがとても難しい、
あるいは非現実的なので、現代風に変更されているらしい。
なるほど、100年近く前に説かれた農法を、そのまま受け入れるのはとても難しいだろう。

しかし、ジョンは熱っぽく語る。

スタイナーの教えを厳格に守ってこそ、バイオダイナミックを正しく実践しているのであって、
後世のバイオダイナミックの崇拝者が、
「これはちょっと難しいからこのように変えよう。」
と、勝手に変更していいものだろうか。と。

(もちろん、現代のバイオダイナミック崇拝者が、墓の中のスタイナーに許可を得たというならよいが。)

スタイナーは神秘学者で、”ひらめき”あるいは”神の啓示”のようなものに基づいてこの農法を説いているので、私たちのような万人には理解しがたいことが多い。
明確な科学的根拠がないので、彼が説いたことを完璧に実践しなくては意味がない。と。

(ジョンが言うことはもっともだ、と思う。)

ジョンは鹿の話を例に出した。
プレパレーション502にはオスの鹿の膀胱を使う。そして乾燥させた膀胱にYarrowというハーブを詰める。
(鹿を殺して膀胱を取り出す、なんてことは到底私にはできない。バイオダイナミック実践者は自分でこの作業をしているのだろうか??)

現在ではただ オス鹿 と定義されているが、スタイナーの教えでは〇〇という鹿に限定されている。
(ジョンが言った〇〇は難しくて覚えられなかった。)
この鹿は普通の鹿ではなく、トナカイのような大きな鹿の一種で、ヨーロッパ中北部に生息する。100年ほど前のスタイナーの時代には簡単に捕獲されただろうが、今は難しい。
この鹿だけに限定すると、日本はもちろん、アメリカでもバイオダイナミックを実践することはとても困難なことだ。ゆえに、今では オス鹿 という定義になっている。

ブドウ栽培だけでなく、農業全般にバイオダイナミック実践者がいる。
現在、お金を出せば、
プリパレーションが買うことができる。
そういうものを使って、「私の畑はバイオダイナミックだ。」
といってもスタイナーは喜ばないだろう。

ジョンの疑問は、どれだけの人がスタイナーの「教義」に忠実に実践しているかだ。

(私は、カリフォルニア在住のバイオダイナミックに詳しい一人のアメリカ人の考えを伝えただけなので、誤解がないように。)

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by kissouch | 2008-11-20 03:16 | 余談