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カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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不法移民労働者

カリフォルニアのワイン業界の底辺を支えているのはメキシコ系アメリカ人、あるいはメキシコ人である。彼らなくしてカリフォルニアワインは存在しない。実数はわからないが、その中には多数の不法滞在者がいると言われている。
ブッシュ大統領はテロ対策の一環として不法滞在者摘発の強化に乗り出すと言っていた。アメリカ国内にはおよそ1000万人の不法移民労働者がいると予想されるが、まず不法滞在者の実数をつかむために“あめと鞭の政策”を打ち出した。不法滞在者が名乗り出れば3〜4年の滞在許可を与え、最低限の社会保証をする。(移民局の摘発にビクビクしなくてもよい。)そのかわり許可期限が切れれば本国に帰らなければならない。ブッシュ大統領は、アメリカ国民にとっても不法滞在者にとっても良い政策だと自画自賛していた。
ワイナリー関係者はどちらかと言えばこの政策は歓迎だ。メキシコ人はアメリカ人より低賃金でよく働くからだ。しかしウオルマートなどで働く低所得者は猛反対だ。職を奪われる恐れがあるからだ。

vineyard workers from Mexico at Maboroshi Vineyard
不法移民労働者_f0007498_1241840.jpg
不法移民労働者_f0007498_125987.jpg


10年以上も前の事、私が初めて働いたワイナリーにペドロ・ゴンザレスというメキシコ人がいた。昼休みに労働ビザやグリーンカードが話題になったとき、私は書類提出の為に何度もアメリカ領事館へ通ったことや大使館でインタヴューを受けたときの苦労話をした。それを聞いた彼は笑いながら、
「俺はそんなヤバいとこに行ったことはない。サンディエゴでフェイク(偽の)ソーシャルセキュリティーカードを$50で買っただけだ。」と言い放った。そして彼は5枚のIDカードを見せてくれた。それぞれ違った名前のカードだが、彼はこれらを使い分けているようだった。(ということはペドロ・ゴンザレスが本名かどうかわからない。)
そういったフェイクIDが今でも通じるなら、ブッシュ大統領の妙案はただの愚案だが。さてどうだろう。
by kissouch | 2006-01-05 08:32 | 余談