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カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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雨!!!

去年の冬(2009年~2010年)、
「今年は雨が多いな~。」と、レベッカと話していた。

しかし、今年(2010年~2011年)は去年の倍以上の雨が降っている。
雨が多い!
そして、寒い!(日本のように雪が降るほど寒くはないが。)


カリフォルニアでは1年の雨量の計測が7月に始まり、翌年6月末日に終わる。
夏はほとんど雨が降らないので、10月ごろまでは、年間積算雨量は0だ。
ハロウィンのころから時々雨が降り出し、12月頃からどんよりした日が続く。

新年を迎え、セバストポールの年間積算雨量は約16インチ(約406mm)。
雨の多い日本では、半年で400mm程度の雨はたいしたことはないだろうが、
雨の少ないカリフォルニアではとても多く感じる。

さて、この時期の雨(雨量)は葡萄に影響を与えるだろうか?
以前にも書いたことがあるが、まだ良く質問が来るので復習をしてみよう。

こちらでもワインメーカー、エノロジスト、ヴィティカルチャリスト、人それぞれ考え方が違うが、
それでも一応、皆が同意するのはヒルサイドヴィンヤードとヴァレーフロアー(平地)ヴィンヤードと雨量の関係だ。


沢山降った雨は平地へと流れて行き、地下水となって貯まる。(もちろんほとんどは、川に流れ出るのだが。。。)
したがって、平地のヴィンヤードの葡萄の木は地下水を吸い上げ、良く育つ。
葡萄も大きな実をつけ立派だ。
その葡萄を見る限り、とても良いワインができそうだ。

(と思うのが素人で、実は違う。)

よいワインになる葡萄は、房も粒もとても小さい。
つまり小さい葡萄の粒のほうが凝縮されていて、ワインによりいっそう複雑味をもたらしてくれる。

平地の畑とは反対に、
ヒルサイドヴィンヤードとは山や丘の斜面にある葡萄畑で、雨が沢山降っても地中に水が貯まることが少ない。(水はけがよい)

こちらの葡萄は、あまり雨の量に関係なく、常に小粒の葡萄となる。

(これがヒルサイド・ヴィンヤードが平地のヴィンヤードより優れている理由)


(食用の葡萄は、粒が大きいほうが見栄えがいいので、高く売れる。
ワイン用の葡萄は、粒が小さいほど高く売れる。)

今年のように雨が多いと、ヒルサイドの畑にはそれほど影響はないが、平地の畑にはかなり大粒の葡萄ができるかもしれない。(粒が大きいと、Water berryと呼ばれる。)



高価なワインになると、ヴィンヤード・デシグネイトとして、ヴィンヤードの名前がラベルに記されている。テイスティングルームでも、ワインショップでも、そのヴィンヤードがヒルサイドかどうか聞くと良い。

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by kissouch | 2011-01-09 05:39 | ヴィンヤード/vineyard