カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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某ワイン愛好家からのemail。

emailは
「立派な形、色、艶のリンゴなどの果物には、間引きがとても重要である。
葡萄も間引きしないと立派な見栄えのよい房に育たないのでは?
そして、それが良いワインにつながるのでは? 」
と言う内容だ。


数年前の話。
レベッカと一緒に岡山の某ワイナリーを訪れたことがある。
そこでは醸造責任者の方からいろいろ話を聞き、お世話になった。
その帰り、岡山の新幹線の駅の近くのお土産屋さんで、
きれいな箱に入っている一房のマスカットが目に留まった。
粒も大きく、形もよく、とても見栄えのよいマスカットだ。
さすが岡山名産と感心した。

レベッカがそのマスカットを手に取りレジに持っていこうとする。

「おい、おい、ちょっと待てよ。それ買うつもり?」と聞くと、

「ちょっと高いけど。。。」といいながら買うつもりだ。

「ちょっと じゃなくて、かなり高いと思うけど。」と言うと、

「アメリカと比べと5ドル(約500円)は高いけど、こんな大きな葡萄の房を見たことないので。。。」と答えた。(当時、カリフォルニアでは葡萄5~6房入りのバッグが1~2ドル前後だったと思う。)

「もう一回0の数を数えたら。」

「Woww! GOーSENーEN! Unbeliebable!」と、マスカットを元に戻し、
記念に写真だけを撮って帰った。


粒間引きなどを最大限行って、
経費が沢山かかっているのだろうが、
私には葡萄一房に5000円払う余裕はない。

さて、食用葡萄の場合、味も大切だが大きさや見栄えが直接消費者の購買意欲につながる。
そのための間引きは重要だ。

しかし、ワイン用葡萄の場合は事情が違う。
大きな、形のよい葡萄をみて、
「いいワインができそうですね。」
と言う方が多いが、実際はソウでない。

小さい葡萄の粒、小さい葡萄の房ほどよいワインができる。(と、私は確信している。)
ワイン醸造には、外見は貧弱だが水分の少ない、よくコンセントレートされた葡萄がよい。

ヒルサイドのヴィンヤードと平地のヴィンヤードの違いがここにある。)


食用葡萄の間引きの主旨はワイン用葡萄のそれと異なる。

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by kissouch | 2008-04-24 23:10 | wine link


ナパは”北のディズニーランド”と呼ばれて久しい。
週末は人と車の洪水だ。そして、どのワイナリーも立派であるが商業化され、テイスティング価格もうなぎ登りだ。
先週私のところへ来られた方が、
豪華な某ワイナリーで一人$65チャージされたと言う。(フードペアリングで。)

それに比べ、ソノマはまだ田舎の素朴さを保っている。
そこがワインカントリーの良いところだと思うのだが。

ところで、日本には フランシス・コッポラ ファンが多いと思う。
しかし、ソノマでは評判がよくない。
というのも、ソノマの素朴なワインカントリーの風景を壊そうとしているからだ。

”ナパ出身”のフランシス・コッポラさんは、どうにかしてガイザーヴィル(ソノマカウンティー)に在るコッポラ・ワイナリーをディズニーランドにしたいらしい。
f0007498_1121072.jpg2年ほど前にシャトースーべレーンを買い取り、改装を重ねていたが、それでは物足らず左のイメージのようなワイナリーに改築する申請を出した。

夜輝くピラミッドをワイナリーの上にのせるという。

これには地元住民が驚いた。猛反対である。
地元の行政は住民に配慮して申請許可を出さないようだ。
しかし、コッポラさんはお金に物を言わせて、あの手この手でピラミッドを作ろうとしている。

さて、今後どうなるのだろうか?


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by kissouch | 2008-04-19 01:12 | news in sonoma/napa

UCDavis の最新情報(4)

Does thinning really improve fruit quality?
Mike Anderson @UCD

thinning=間引き とあるが、私達がこちらワインカントリーで使う言葉thinning(シンニング)は間引きの意味も含むものの、少し違う。ゆえに、ここではシンニングと言う言葉を使う。
芽を落としたり、葉を取り除いたり、葡萄の房を落としたりすることを、すべてシンニングと言う。



葡萄を生産する側にとっては利害関係もからみ、このクラスはとても興味がある。

葡萄を生産する農家は 1トン当たり 〇〇ドル でワイナリーに葡萄を売るので、
できるだけ生産量を増やしたい。
しかし、シンニングは生産量を減らす作業であるので、農家の意思とは相反する。
また、シンニングをするにあたって、多大の人件費もかかる。
だから極力シンニングを避け、葡萄の収穫高を増やしたい。

ワイナリー側は、シンニングによって葡萄の品質を高めたい。それは、ワインの品質にもつながる、と信じている。(私も含めそれが一般常識だ。)
(幻ヴィンヤードでは、4回ほどシンニングを行い、1エーカー当たり1.5~2.5トンに抑えている。)
さて、
「シンニング(間引き)をすれば本当に葡萄の品質が上がるのか?」
がこのクラスのテーマだ。
マイクはナパのスタッグスリープ地区にあるカベルネーソーヴィニヨンの畑でリサーチを行った。畑に植えられているぶどうは、

クーロン 5
ルートストック 101-14

シンニングはブロックごとに下記の3つの段階で、ぶどうの房がそれぞれ20%、40%落とされた。
1)花が咲いた後
2)ヴァレージョン時期
3)ブリックス21°になった時
そして、何もしないコントロールとそれぞれを比較する。

マイクは8月下旬から、2~3週間おきに糖度を測り、それぞれのブロックごとに比較してみた。しかし、どのブロックの糖度も顕著な差が現れない。
リサーチの結果を元に、彼が出した結論は、
シンニングの有無、シンニングの時期にかかわらず、ハーベスト時には同じ糖度になる、と言うことだ。
しかし、1)、2)とコントロールは、トータルでは同じブリックスになるが個々の葡萄の糖度にはむらができるという。
ということは、3)でシンニングすればそれぞれの葡萄の房が均一の糖度になるということだ。

そして、マイクは葡萄の品質を見極めるために、
コントロールの葡萄とシンニングを行った葡萄の品質数値を測定した。
結果は、シンニングを行った葡萄が若干良い数値を示したが、
顕著な違いは認められなかった。

マイクは、「シンニングはあまり効果が認められない。」と控えめに述べた。

さて、このリサーチは農家にとって朗報となるだろうか?

(このリサーチがワインクオリティーまで言及されていればもっと面白かったのだが。。。。。)



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by kissouch | 2008-04-10 07:39 | wine link

発芽 2008

こちらナパ・ソノマは素晴らしい春の気候が続いている。
朝晩0℃近くまで下がるが、日中の気温は20℃前後でとても気持ちがよい。
雨もほとんど降らず、霧もあまり流れてこない。

燦々と降り注ぐ陽光を受け、
幻ヴィンヤードの葡萄の木の芽がすごいスピードで伸びだした。

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by kissouch | 2008-04-08 03:02 | vineyard 2008

UCDavis の最新情報(3)

3) You are what you eat: Substrate availability affects Brettanomyces Aromas
Lucy Joseph @ UCDavis

Brettanomyces--この日本語がない。あるいは見つからない。(腐敗酵母と書いてあるワイン書もあるが、正確にはソウではない。)

英語読みでは、ブレタノマイシス、あるいはボタノマイシスとワイン関連の本に書かれている。何人かのアメリカ人ワインメーカーに、普通に発音させてみると、ブレタ より ボタ に近いのでボタノマイシスにしておこう。
仏語読みでは、ブルタノミセスが多い。

このボタノマイシスと言うイースト。。。ボタノマイシスは長いので、通称=ブレット と言われる。
日本のワイン関連の本や雑誌ではあまりお目にかからない。
見つけても、 上記の腐敗酵母=ワインに不快なにおいをもたらす 程度だ。
しかし、私のブログを読んでいただいているワイン愛好家には是非覚えていただきたい言葉だ。
なぜなら、ワイン醸造に携わっている人々の会話では、このブレットと言う言葉が頻繁に出てくるからだ。
コントロールするのが難しいので、ブレットを嫌うワインメーカーは多い。しかし、中には”ブレットファン”と呼ばれるブレット愛好家のワインメーカーもいる。

ではこのブレットはどのようにワインに影響するのか?
ワイナリー内部、備品を清潔に保ち、適度のSO2をワインに添加していれば、たとえブレットが入り込んだとしても大きく増殖することはない。
しかし一度ワイン内に入り込むと、4-EthylPhenol(4EP) や 4-EthylGuaiacol (4EG) を発生させる。そして、その4EPや4EG はいろいろな香り(臭い)に”化ける”。

すこし例を挙げてみると、
馬、馬の汗、馬小屋、干草
なめし皮、ぬれた皮
濡れた犬
ねずみの糞
野生動物の糞尿
猫の尿
薬、化学薬品
バンドエイド
ヨードチンキ

タバコ、シガー
牧草、大地
野生の花  など。
(心当たりのある方もいるだろう。)

数年前参加したボタノマイシスについてのセミナーでのこと。
パネラーの一人のリサーチによると、
子供の頃の体験が、”各個人が知覚するブレットの臭い”に反映されると言う。
どういうことかというと、
そのパネラーは子供の頃よく怪我をした。
そのため、知らない間に、彼はバンドエイドや消毒薬の臭いに敏感になった。
ゆえに、4EP、4EG の値が高いワイン中に、そのバンドエイドや薬品の臭いを見つけることが多々あるらしい。

私の友人のワインメーカーは、ブレットの臭いは、
「小便で濡れた布団や毛布の臭い。」
と断言する。
と言うことは。。。。。。。。。。

では、ブレットがワイン中に存在するかどうか、を調べるには。
顕微鏡を覗けばわかるのだが、バクテリアやイーストを特定できる眼を持つのは、かなり熟練したマイクロバイオロジストだけだ。
私もいろいろクラスをとり勉強したが、自身をもってこれはボタノマイシスだ、言い切れない。

数年前、ワインサンプルをナパとソノマの2箇所の専門ラボに送った。
ソノマのラボからは、ワイン中にブレットが入っているとレポートが来た。
しかし、ナパのラボは入っていない、だった。
ボタノマイシスを特定するのには専門家でも間違う。

それ以来、4EPと4EGの数値を頼りにしている。
400ng/mLがスレスホールドで、このあたりからソムリエさんやワインをよく飲んでる女性には知覚できる。
(女性のほうが男性より嗅覚がよい)
しかし、このあたりの数値では、いわゆる複雑な香りとなり、ワインの批評家から歓迎される事が多い。
うまくこのあたりの数値で止められればそれに越したことはないが。。。。
フランスでもアメリカでも、それらをまったく気にしない醸造家もいる。(あるいは知らない?)
一度、下水道とスカンクの臭いが重なった、とてもひどいローヌワインに出くわしたことがある。
興味本位で、4EPを調べると 2000ng/mLを越えていたのを覚えている。
(いままでこのような高い値は見たことがない。)
また反対に、4EP値が800ng/mLぐらいの5級のボルドーワインが、
かすかなブレット臭とフルーツ香において絶妙のバランスを作っていたこともある。

ボタノマイシスが絶対「悪」とは言い切れない。


ルーシーのクラスは、上記のことをより詳細に分析していた。
難しい化学用語ばかりなので省略。
ただ、ワイン中の substrate と chemicaltype によっては、
悪臭だけでなく、
シトラス
ミント
甘い花の香り
スパイス など
予想外の香りも発生するらしい。


2003年ヴィンテージ
 Maboroshi Cabernet Sauvignon Napa Valley
を、リリースした。
このワインには 約380ng/mL の4EP が含まれている。

このワインを飲む機会があれば、
「ちょっとブレットが入ってるね。」
などの会話を楽しんで欲しい。


質問などはemailで。。。。

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by kissouch | 2008-04-01 03:55 | wine link