カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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1) pruning/剪定

今日は2月27日。 
この時期までには、ソノマ、ナパの90%のヴィンヤードは剪定が終わっているだろう。しかし私の畑では試験用のブロックを除いて、剪定をまだ始めていない。

有名ワインメーカーが醸造方法にこだわるように、有名ブドウ栽培家もそれぞれ自分のフィロソフィーを持ち合わせる。剪定に関してもいろいろ意見が分かれ、早い方が良いという人と、11月下旬から2月までならいつでも良いという人、遅ければ遅いほど良いという人がいる。私はブドウ栽培に関しては一通り勉強したが、実践ではまだ経験3年の“素人”なので、“偉い人”が言っている方法を真似る段階である。剪定に関しては、後者を選んだ。
剪定を遅くすることで、その年のブドウの樹の活動を遅らすことができる。つまり、発芽が遅くなるので、霜害にあう確立が少なくなる。そして、成熟期間が長くなり、収穫時期をを伸ばすことができる。欠点は、剪定時には芽が柔らく膨らんでいるので傷つけやすい。ベテランのヴィンヤードワーカー(写真)は気をつけて丁寧に剪定するが、経験の浅い者はそうは行かない。
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by kissouch | 2006-02-27 09:07 | ヴィンヤード/vineyard

World of Pinot Noir

第6回  World of Pinot Noir (通称=ピノ・ワールド)が3月3日〜4日に開かれる。120以上のピノノアール生産者が参加するので400種類ほどのピノノアールが楽しめるだろう。 デローチ・ヴィンヤードのブースに行けば幻ピノ・ノアールをテイストすることができるので、参加される方はお忘れなく。
場所は The Cliffs Resort Shell Beach, CA
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by kissouch | 2006-02-25 02:35 | wine link

DeLoach Maboroshi vineyard 2005

今日、デローチ・ヴィンヤードから2005ヴィンテージピノ・ノアールの試飲に招かれた。
ワインメーカーのグレイグは出張中で、グレイグのアシスタント兼ヴィンヤードマネージャーのジニーの案内で10種類ほどのピノ・ノアールを樽から試飲した。
ジニーはUCデイヴィスで長年ブドウ栽培の研究をし、博士の学位を取得している。バッドブレイクが始まると、1週間に一度は私たちのヴィンヤードに来て成長状況を調べる。彼女のアドバイスはとても参考になる。

さて、樽からテイスティングしたワインは、ルッシアンリヴァー、グリーンヴァレー、ソノマコーストにあるそれぞれ違ったヴィンヤードのピノノアールである。まだマロラクティック発酵がやっと終わった段階ではあるが、それぞれの特色が顕著に表れている。
どれが一番好きか、と聞かれ、
勿論、まぼろしヴィンヤードと冗談交えに答えた。
彼女もMa・Bo・Ro・Shiが大好きと答えた。
アメリカ人には“幻”の発音はなかなか難しいらしい。
2005年ヴィンテージもシングルヴィンヤードで出したいがどう思う、と言われ、
十分その価値はあると伝えておいた。
来年のリリースが楽しみである。

とてもテレヤであるジニー。
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by kissouch | 2006-02-23 05:55 | tasting
先週の金曜日、サンタ・ローザの最高気温は42°F(約5.5℃)だった。過去103年間で、2月としてはもっとも寒い日となった。北極からの寒気が南下し、ここ1週間はコートで身を包まなければならない寒さが続いている。ガイザーピークやMtセントヘレナは数センチの積雪もあった。

2週間前は最高気温が25℃近くまで達し、春そのものだった。早いところではバッドブレイクがあったと聞く。霜害は大丈夫だろうか。
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by kissouch | 2006-02-19 14:53 | news in sonoma/napa

crush report 2005

2005年のハーベスト状況を知らせる、クラッシュレポートが届いた。
以前も述べたがブドウ栽培家にとってはパーカーポイントのようなもので、ブドウの取引価格が低いほうから高いほうへとランク付けしてある。ちなみに私のピノノアールは平均価格よりかなり高くなったが、トップには水をあけられている。(頑張らねば!)
またクイズ形式にしたので、楽しんで欲しい。
比較する栽培地区は、メンドシーノ、ソノマ、ナパ、サンタバーバラ、モントレー。
取引価格は1トンに対して。

シャルドネ
 1) 今年の最高取引価格は12000ドルだが、どの地区だろう。
 2) 平均価格のトップは2111ドルだがどこだろう。 ちなみに最下位はモントレーの879ドル。

カベルネ・ソーヴィニヨン
 3) 最高価格は勿論ナパだが、いくらぐらいだろう。
    a.$15500 b.$18500 c.$22500 d.$26500
 4) 2位はソノマだが、いくらぐらいだろう。
    a.$5131 b.$7131 c.$9131 d.$11131
 5) 平均価格もナパ($3973)、ソノマ($2321)の順であるが、最下位はどこで、いくらだろう。
    a.$833 b.$1033 c.$1233 d.$1433

メルロー 
 6) メルローもナパがダントツだが、それでは最高価格は?(2004年は約20000ドル)
    a.$9425 b.$13425 c.$18425 d.$22425
 7) カベルネ同様、平均価格はナパの$2660がトップ。
    この平均価格はどこの地区だろう。$959。

ピノ・ノアール
 8) これは難しい。最高価格($10375)のトップはどこだろう。
 9) これも予想外。最高価格($5000)のボトムは?
 10) ついでに最高価格($7500)の2位は?
 11) 平均価格($1393)のボトムは?
 12) 平均価格で、ソノマはナパに勝っただろうか?。

シラー
 13) 最高価格($6806)のトップは?

ジンファンデル
 14) 最高価格($6948)のトップは?
 15) 平均価格($2280)のトップは?
 16) 最高価格($2500)、平均価格、両方ともボトムはサンタバーバラだが、平均価格はいくらだろう?
    a.$501 b.$701 c.$901 d.$1001

解答は、コメント欄に。全問正解者には幻ピノを進呈。
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by kissouch | 2006-02-17 06:47 | ヴィンヤード/vineyard

オーガニックと羊

去年帰国したとき、ある酒屋さんから日本ではオーガニックワインが美味しくて、よく売れていると聞いた。(本当に美味しいのだろうか?)

こちらカリフォルニアでは事情が違う。
誰も口には出さないが、カリフォルニアの醸造家はオーガニックワインと聞けば不味いワインを連想する。内々ではオーガニックワインは不味いワインの代名詞で、「オーガニックワイン? 」 「ペッ!」 と吐き出す仕草をする。「どうすればこれほど不味いワインができるんだろう?」と、冗談を飛ばす友人もいた。
しかし、こちらカリフォルニアでも農産物のトレンドはオーガニックなので、事情は少々複雑だ。
それ故、ワイナリーのマーケテイング・コンセプトは「ブドウ栽培はできるだけオーガニックで、でもオーガニックワインとは名乗らない。」って言うところだろうか。

こちらソノマでは梅と桜が競うように咲き始め、もう春の陽気である。そろそろ草刈りの準備を始めなければならない。数年前から機械に代わって羊を使かっての草刈りをするワイナリーが現れだした。ふつうの羊は背が高すぎ、ブドウの葉や芽まで食べるので使用できない。そこでミニチュアの羊、ベビードール・シープが使われる。この羊を使うのには、草刈りだけでなくもう一つの理由がある。
春とともにワイナリーへの観光客が増えてくるが、このベビードール・シープは観光客に対して「見てください。私たちのヴィンヤードはオーガニックですよ。」と、抜群の宣伝効果があるからだ。羊の愛想はあまり良くないが、観光客には大いにアピールする。
ついに去年からこのベビードール・シープのレンタル会社まで出現した。
レンタル料は1日1匹2ドルである。
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コヨーテから守るため、エレクトリックフェンスで囲む。
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電源はソーラ・パワー
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by kissouch | 2006-02-14 06:52 | ヴィンヤード/vineyard

Baboon

南アフリカのマリーからemailが届いた。ケープタウンのビーチハウスで家族と一緒に夏季休暇を過ごしたのち、ハーベストの準備に取りかかっているとのこと。南半球の3月がこちらの9月にあたるので、ちょうどハーベストの1ヶ月前だ。
私のヴィンヤードでハーベストの1ヶ月前にしなければならないことは、鳥がブドウを食べにくるのを防ぐためにネットを張ることだ。去年、そのことを聞いた彼女は、南アフリカの一部の畑では鳥よりもバブーンによる被害が多い、と話していた。

So, what is baboon?  と聞くと、
It's a baboon. you don't know? it's a baboon!  と興奮して彼女は話しだした。
インターネットで写真を見つけ、これだ、と見せてくれた。
It's a monkey.  と言うと、
No, it's a baboon. Not monkey~.
私にとっては”猿”にしか見えないが、彼女にとっては猿とバブーンは違う生物のようだ。

少し話はそれるが、カリフォルニアにすんで以来同じようなことが時々ある。最近では2ヶ月ほど前に、家のガレージでネズミを見つけた時のことである。
I saw a rat. と言うと、
No, it isn't.
It's a mouse. とレベッカは答えた。
What's the difference?
Mice are cute but rats are ugly.
私にとっては只のネズミだが、彼女には、mouse と rat は全く違う動物だった。


元に戻って。
森の近くのヴィンヤードではバブーンの被害は鳥の被害よりずーっとひどいらしい。その防御のためにヴィンヤード全体をエレクトリック・フェンスで囲む。バブーン側もそうやすやすとはあきらめない。
バブーンはニホンザルのように群れを作り、リーダーがいるらしい。(やはり猿だろ!)  そのリーダーが”特攻隊員”を選ぶ。群れは森の出口で待機し、”特攻隊員”の合図を待つ。”特攻隊員”はフェンスに電流が流れているかどうかを確かめるため、恐る恐るフェンスに近づき、指を一本だしてワイヤーに触れる。触れた瞬間、電気ショックで「ギャー」と叫ぶ。その叫び声を聞いた群れはそれぞれ奇声発しながら一目散に森の中へと逃げてゆく。
しかし性懲りもなくまた次の日やって来て、同じことを繰り返す。
その様子を見ていると、人類学の勉強にもなる,と彼女は言っていた。

たまに停電とかになることがあるのだが、彼女によると、そのときはchaosの一言。

Baboon,どう見ても猿の一種だが・・・・
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by kissouch | 2006-02-10 04:25

fire in sonoma and napa

フランスのブルゴーニュとボルドーが対比されるように、カリフォルニアではソノマとナパがしばしば対比される。生産される品種やワイナリーの規模からすると、ソノマがカリフォルニアのブルゴーニュというところか。
以前働いていたワイナリーではカスタムでロバート・モンダビのワインの一部を作っていた。その関係でモンダビからモンダビ・ワイナリーとオーパスワンの見学に招待された。きれいに着飾った女性に案内されたのだが、彼女は私がどこからきたのか知らされてなかったようで、「ソノマはナパに比べ10年遅れているわ。」と嫌みなコメントをした。私は「その10年遅れたソノマでモンダビのワインを造っているよ。」と言い返した。ナパとソノマにはどうも変な対抗意識があるらしい。

ご存知の方も多いと思うが、先週の木曜日の朝、ナパのシルバーオーク・セラーズで火事があった。正月には洪水で水に浸かり、2月は火事だ。 踏んだり蹴ったり、とはこのことを言うのだろう。
テイスティングルームの暖炉の火の粉が原因らしい。その火事のため2004年カベルネソーヴィニヨン70樽を失った。70樽から約2万本のワインが取れる。小売価格が1本$100なので2億4千万円ほどの損失か。その上、テイスティングルームが焼失、オフィスが煙でダメージを受けた。それでも2日後の土曜日にはテントを張って、2001年のカベルネソーヴィニヨンのリリース・パーティーを催したのには恐れ入る。(さすがナパ。商魂逞しい。)

同じ日の午後、ソノマのヒールズバーグにあるザンドリーノ・ランチでも火事があった。40エーカーのヴィンヤードは無事だったが、家は全焼だった。同じく暖炉の火の粉が燃え移ったらしい。どちらの火事にもけが人が出なかったのが不幸中の幸いだ。

不謹慎な話だが、「火事まで対抗心を燃やしているな。」とは私の友達の話だ。

silveroak cellars
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zandrino ranch
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翌日。家は焼け落ちたが、皮肉なことに火元の暖炉だけが残っていた。
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by kissouch | 2006-02-09 13:16 | news in sonoma/napa

(2) コルクと TCA

Q:ブショネ(コルク汚染、コルク臭)って?

クロロアニソール類に汚染されたコルクが瓶詰めされたワインとコンタクトすることによって、ワインが本来のフレーバーを失いモルディー、マスティー、濡れたダンボール、あるいはケミカルなフレーバーになること。 (コルク臭のフレーバーには個人差がある。)


Q:クロロアニソール類って?

クロロアニソールは主にこの4種類。
似ているがそれぞれ違ったフレーバーをもたらす。
 TCA=2、4、6−トリクロロア二ソール
 TeCA=2、3、4、6−テトラクロロア二ソール
 PCA=ペンタクロロア二ソール
 TBA= 2、4、6−トリブロモア二ソール


Q:クロロアニソールはどこからくるの?

最近読んだワイン雑誌に、TCAはコルクを洗浄する時に使う塩素が原因であると書いてあった。これは正しくない。15、6年前、塩素が原因かもしれないと疑われだした時点で主なコルク業者は塩素を使わなくなったからだ。
現在は以下のように解釈されている。
コルクの木自体にフェノールが含まれている。そのフェノールが自然界(コルクの森など)にある塩素系の物質と化学反応してクロロフェノールとなる。そしてカビが付着するとカビのメタボリズムによりクロロアニソールに変化する。  


Q:「ワインがブショネ」とはどれくらいのレベルのTCA?

よくトレーニングされた専門家(ソムリエ、醸造家)で3ng/Lでワインのフレーバーの変化に気がつく。
 コルク臭がわかるのは6ng/L 位から。一般の消費者では10ng/L 以上でも気づかない人がいるらしく、個人差が大きいらしい。


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by kissouch | 2006-02-06 04:09 | corks

DeLoach Vineyards

デ・ローチ ヴィンヤード は2年前に倒産し、フランスはブルゴーニュの大手ワイングループボワセ に買い取られた。ボワセUSAの社長、ジャンーシャルル・ボワセは映画モンダビーノで自分のnudityを披露して有名になった人物であるが、ワインにたいする彼の姿勢は評価できる。ブドウ栽培へのこだわりは強く、契約ヴィンヤードを厳選した。そして、ワイン醸造にはピノ・ノアールのスペシャリスト、グレグ・ラフォレットを迎え入れハイエンドを目指している。

昨日、契約栽培農家とワインメーカーを招いてブラインド・テイステイングがデローチのゲストハウスで行われた。6種類のピノ・ノアールが用意されたが、どれも甲乙つけがたいハイレベルであった。袋から出されたそれぞれのピノ・ノアールのラベルを見て驚いたのは、私が最高得点をつけたワインが、 DeLoach 2004 Maboroshi Vineyard Designated の表示があったからだ。妻のレベッカは “マグレ”と笑っていたが、結構気持ちのいいものであった。
このデローチの幻ヴィンヤード2004はこの春にリリースされる。私の幻ピノ2004と並べて比べるとおもしろい。というのは、ブドウのソースが全く同じなので、ワインから作り手の個性が楽しめるからだ。
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by kissouch | 2006-02-03 14:06 | tasting