カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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ベースボールも好きだが、アメリカンフットボールの醍醐味にはかなわない。
ワイナリーでの月曜日の朝の挨拶は、勝っても負けても「ナイナーズ」だ。私はカリフォルニアに来て以来ズーっと49ERSファンである。 また私の娘が高校でジョー・モンタナの娘、エリザベスと同級生だったことも手伝ってレイダーズファンにはなれない。 49ERSはここ2~3年低迷しているが、数年後にはまたプレーオフチームに復活することを信じている。

先日、ローカル新聞のスポーツセクションを読んでいた。裏ページの片隅に“49”という数字が目に留まり、49ERSの記事と思いきや、ブルース・コナーの年齢だった。
来年トリノで開かれる冬季オリンピックのスピードスケート選手を選ぶトライアルがユタで開かれている。そのトライアルレース出場資格にパスしたブルース・コナーが話題になっている。1976年にオリンピック選手になり損ねて以来、30年ぶりのトライアルだ。500メートルの結果は31人中27位だったが、20歳前後の若者に混じっての健闘は50歳前後の同世代を大いに勇気づけた。
そのトライアルレースでさらに人々を驚かせたことがあった。15年前ロシアから帰化したボリス・レーキンが出場し、成績は23位だった。
ところが彼の年齢は53歳だった。
人生、50を過ぎてから、、、、、って言うところか。

Bruce Conner, 49years old
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by kissouch | 2005-12-30 14:46 | sports

ホームワインメーカー

私の友人のハヴィヤー・アセヴェドは1970年ごろ、仕事を探しにメキシコからカリフォルニアにやってきた。そしてヴィンヤードワーカーとして働き出し、ドライクリークに落ち着いた。今では数十人のヴィンヤードワーカーのボスである。彼には5人の子供がいる。そのうちの一人、ラミロは大学生で、コンピューターサイエンスを専攻している。またワイン造りにも興味があり、ジョーダンヴィンヤードから分けてもらったカベルネ・ソーヴィニヨンで、去年(2004年)ワインを2樽造った。
ソノマ、ナパと言ったワインカントリーでは、このラミロのようにホームワインメーカー(アマチュアワインメーカー)がたくさんいる。友人、親戚、縁故をたどれば誰かがワイン業界で働いていたりするので、その気になればワイン造りに必要なものがそろう。大抵のホームワインメーカーはやり始め(クラッシュ、発酵期間)たときはとても熱心であるが、2~3ヶ月(熟成時期)たつと熱が冷め、ワインを放置してしまう。
ラミロがワインを分析して欲しいと私のところに持ってきた。味もまろやかになってきたのでそろそろボトリングしたいからと。テイストすればそのワインがどういう状態か見当がつくので、私は早速飲んでみた。本人の前で失礼だったが、口に含むなり吐き出してしまった。

 Tom   「ワインがかなりアルデヒックになってるよ。」
 Ramiro  「アルデヒックって?」
 Tom   「ワイン中にアセトアルデヒドが発生している。」
 Tom   「ラミロ、いつSO2添加した? 」
 Ramiro 「クラッシュのとき30ppmほど入れた。」
 Tom  「その後は?」
 Ramiro 「それから一度も入れてない。」
 Tom  「もう一年以上入れてないのか・・・それならフリーSO2は0だな。SO2は
      一定の濃度を保ってないと意味がないよ。」
 Ramiro 「えっ、最初に入れたSO2だけではだめなの。」
 Tom  「SO2は他のコンポーネントと結合して徐々に減少していくから。」
 Tom 「トッピングはしてる?」
 Ramiro 「3ヶ月ほど前にしたけど。」
 Tom 「トッピングは毎月しないとヘッドスペースが大きくなって微生物に汚染され
     るよ。この味ならもう汚染されてるかな!?」
 Ramiro 「そんなにひどい味かな・・・結構いいワインになったと思ってたけど。」
 Tom  「考えようによっては、複雑味が増したと評価する人がいるかも。」笑
 Tom 「ラッキングはいつした?」
 Ramiro [ラッキングはしたことない。」
 Tom [かなり手抜きのワインだな。(笑) このワインなら少なくとも2回は
      ラッキングしなくっちゃ。 まだかなりディチな匂いがするけど。」

こうした会話のあと、SO2とpHのアジャストメント、アエレーションのアドバイスをした。少しは味が向上するだろう。年明け早々に手作業でボトリングをし、1本私のところに持ってくると言っていた。
このラミロの“ワインテクニック”、どこかで聞いたような気がする。
ノーSO2、ノーラッキング、手作業瓶詰め、、、誰かが熱っぽく語っていた自然ワインだ。

wine samples for RS and ML
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by kissouch | 2005-12-28 04:58 | ワイン醸造/vinification

オーガニックって?

ハーベストが終わり12月になると、ワイナリーもヴィンヤードも人の気配がなくなり静かになる。セラーワーカーもヴィンヤードワーカーもクリスマスにあわせて休暇を取るからだ。私も2週間のクリスマス休暇があるので、スキーにでも行きたいところだが、10日間はヴィンヤードで働かなければならない。この時期は疲れたブドウの樹に栄養分を与えるため堆肥を撒く。堆肥はオーガニックであるが、この場合のオーガニックって言うのは結構曖昧だと思う。この堆肥は牛糞が主であるが、これら放牧されている牛はオーガニック的に育てられたのだろうか?<<獣医からのワクチン等はどうだろう?>>  食用となる草はもちろんオーガニックでなければならないが、その牧草のためにスプリンクラーでまく水はどうだろう? クロリーンが混ざっていてもオーガニックと呼べるのか? いろいろ疑問がわいてくる。ブドウに関しては定義があるが、堆肥に関してはわからない。

昨年帰国したとき、ある酒屋さんがフランスのオーガニックワインが美味しくてよく売れると言っていた。ブドウの成熟期にはほとんど雨の降らない乾燥したカリフォルニアでもミルデュー などのカビの発生には神経を使う。こちらに比べ雨も多く湿度も高いフランスでは、オーガニックと呼ばれるブドウはカビの発生をどのように防いでいるのか。
調べてみると、オーガニックと呼ぶことのできるブドウ(ワイン)に散布してもよい農薬の項があった。  <<オーガニックに農薬??>>   昔から使われている「ボルドー液」は使ってもよいらしい。ボルドー液の主成分は銅だ。いままで「オーガニックの銅」って聞いたことはなかったが。。。
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冬枯れの幻ヴィンヤード
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by kissouch | 2005-12-16 08:16 | ヴィンヤード/vineyard

インドの博士、Ajoy Show

アジョイはいわゆる秀才で、マイクロバイオロジーの博士である。そのまま大学に残って研究を続ければ教授となり、「左うちわ」で暮らせただろう。なぜワイン業界に入ったかと聞くと、「ワインが好きだから。」と単純明快な答えが返ってきた。彼はすぐにスーラヴィンヤードのアシスタント・ワインメーカーに就任したが、ほとんど醸造の経験がなかったので私のもとへ研修にきた。ハーベストの間、彼には初体験のことばかりでとても勉強になったと言っていた。私もいろいろ微生物のことを彼から学んだ。
今年はマルゴーの某シャトーで研修し、帰国後醸造責任者になった。彼曰く、「醸造過程で、既にボルドーワインとカリフォルニアワインの違いは明白だ。」とのこと。

vineyard
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Ajoy with old tractor
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インドではワイン醸造はまだ黎明期で、甘口のスパークリングワインや白ワインが主流だ。
しかし、最近の経済成長ででてきた若い富裕層がワインに興味を示し始め、赤ワインの需要が急速に増えていると言う。彼も去年からシラーとメルローを造り始めた。

riddling with machine
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winery
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by kissouch | 2005-12-10 06:02

醗酵から熟成へ

今日の分析で、リンゴ酸のレベルが9mg/100mlになったことを確認した。これでいわゆる醗酵段階が終了した。次は熟成段階へと進む。その区切れとなるのがSO2の添加である。
SO2の添加されたワインは“体に悪い”と考えている人がたまにいるが、一部の流通業者が作り上げた迷信である。古くはローマ時代から使用された記録があり、ワインだけでなく一般食品にも広く使用されている。SO2をワインに添加することで、ワインの酸化を防止したり微生物の繁殖を防ぐ。SO2の話は長くなるので、いずれ改めて。
日本ではSO2無添加ワインが美味しいワインと勘違いしてる人がいるらしい。
「そんなのワインじゃないよ。」といったら叱られるかも知れないが、すくなくともワイン造りに情熱を持っている醸造家の目指すところではない。
タンク醗酵の早飲みワインなら可能であるが、長期“樽”熟成の“美味い”ワインには「SO2無添加」は不可能である。

ある日ワインメーカー、エノロジストが集まるパーティがあった。
ロバート=パーカーのテイステイング能力は本物かどうかという話題になったとき、
「日本にはもっとテイステイング能力の優れてるワインクリティックがいる。」と私が言うと、
「どんな人物だ?」とか、「どうしてボブ(パーカーの愛称)より優れているとわかるのか?」と真剣に聞かれ、
「彼はワインの味だけでなく、飲めばSO2の添加レベルまでわかる、と言ってるから。」
と答えると、一同大笑いになった。この類いのワイン批評家はアメリカにもいる。
1年ぐらい前にどこかのワインサイトで見たワイン批評家だ。


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by kissouch | 2005-12-08 04:52 | ワイン醸造/vinification
明日は南アフリカからワイン醸造を勉強しにきているインターン、マリーの最終日だ。南アフリカの University of Stellenbosch で Viticulture & Oenology を専攻し、地元のワイナリーで1年半働いた。
その後8月の下旬に25時間費やしてカリフォルニアにやってきた。約3ヶ月間、カリフォルニアのセラー&ラボ・テクニックを学んだ。
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1週間ほどアメリカ国内を旅行した後、南アフリカに帰り、ハーベストの準備をする。
オーストラリアなどと同じく、南アフリカは南半球に位置するのでハーベストは3〜4月となる。
将来はワインメーカーを目指す彼女だが、どんなワインができるか楽しみだ。
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by kissouch | 2005-12-02 10:47