カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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カテゴリ:ヴィンヤード/vineyard( 89 )

2) Pruning/剪定

過去20年ぐらいの間にいろいろなトレリスシステムが考案され、収穫量を優先するワイナリーはUシステムとかダブルカーテンといった新しいシステムを使っている。これらのシステムを使うと1エーカーあたり5〜10トンの収穫がある。ハイエンドを目指すワイナリーは伝統的なトレリスシステムであるVSP(ヴァーテイカル・シュート・ポジション)とケーン・プルーニングを使っている。地域によってはゴブレットも使われているが、たいていジンファンデルだけである。
VSPはカベルネなどのボルドー系によく使われ、ケーン・プルーニングはブルゴーニュ系のブドウに使われる。気象条件、スペーシングや品種にもよるが、どちらのシステムも4〜5トンの収穫量が期待できる。しかし高品質のワインを目指すなら収穫量は2トン以下に抑えるべきだろう。
ちなみに幻ヴィンヤードはケーンプルーニングで、去年の収穫量は1エーカーあたり1トンである。(開花時に雨が降ったことも影響している。)

VSPはどの枝を切り取るかわかりやすいが、ケーンプルーニングは経験を積まなければ難しい。初めてプルーニングをした頃は、数ある枝の中から最もふさわしい枝を残して、他の枝を全て切り取ってしまうのにはかなり勇気がいった。(間違った枝を残すと実がつかないことがある。そして翌年の収穫量にも影響する。)

1) 残す枝は健康であるか。
2) 芽を8個残すことができるか。
3) 芽と芽の間隔が一定であるか。
4) 枝をワイヤーにくくりつけたとき、芽は上向きになるか。
5) 枝をワイヤーにくくりつけたとき、きれいなアーチ型になるか。
6) どの枝を来年用に残すか。

上記のことを一瞬に判断し、不要な枝を切っていく。
一度迷いだすとなかなか残す枝を見定められない。“剪定道”とでも言おうか、心の乱れがあるとスムーズに剪定ができない。「今年のワインのできはこの剪定にかかっているのだ。」と精神を集中して枝を切らなければならない。 (これはちょっと大袈裟かナ。メキシコ人のヴィンヤードワーカーは誰もこんなことを考えてないって。)

プルーニング
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プルーニング後
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by kissouch | 2006-03-16 09:22 | ヴィンヤード/vineyard

1) pruning/剪定

今日は2月27日。 
この時期までには、ソノマ、ナパの90%のヴィンヤードは剪定が終わっているだろう。しかし私の畑では試験用のブロックを除いて、剪定をまだ始めていない。

有名ワインメーカーが醸造方法にこだわるように、有名ブドウ栽培家もそれぞれ自分のフィロソフィーを持ち合わせる。剪定に関してもいろいろ意見が分かれ、早い方が良いという人と、11月下旬から2月までならいつでも良いという人、遅ければ遅いほど良いという人がいる。私はブドウ栽培に関しては一通り勉強したが、実践ではまだ経験3年の“素人”なので、“偉い人”が言っている方法を真似る段階である。剪定に関しては、後者を選んだ。
剪定を遅くすることで、その年のブドウの樹の活動を遅らすことができる。つまり、発芽が遅くなるので、霜害にあう確立が少なくなる。そして、成熟期間が長くなり、収穫時期をを伸ばすことができる。欠点は、剪定時には芽が柔らく膨らんでいるので傷つけやすい。ベテランのヴィンヤードワーカー(写真)は気をつけて丁寧に剪定するが、経験の浅い者はそうは行かない。
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by kissouch | 2006-02-27 09:07 | ヴィンヤード/vineyard

crush report 2005

2005年のハーベスト状況を知らせる、クラッシュレポートが届いた。
以前も述べたがブドウ栽培家にとってはパーカーポイントのようなもので、ブドウの取引価格が低いほうから高いほうへとランク付けしてある。ちなみに私のピノノアールは平均価格よりかなり高くなったが、トップには水をあけられている。(頑張らねば!)
またクイズ形式にしたので、楽しんで欲しい。
比較する栽培地区は、メンドシーノ、ソノマ、ナパ、サンタバーバラ、モントレー。
取引価格は1トンに対して。

シャルドネ
 1) 今年の最高取引価格は12000ドルだが、どの地区だろう。
 2) 平均価格のトップは2111ドルだがどこだろう。 ちなみに最下位はモントレーの879ドル。

カベルネ・ソーヴィニヨン
 3) 最高価格は勿論ナパだが、いくらぐらいだろう。
    a.$15500 b.$18500 c.$22500 d.$26500
 4) 2位はソノマだが、いくらぐらいだろう。
    a.$5131 b.$7131 c.$9131 d.$11131
 5) 平均価格もナパ($3973)、ソノマ($2321)の順であるが、最下位はどこで、いくらだろう。
    a.$833 b.$1033 c.$1233 d.$1433

メルロー 
 6) メルローもナパがダントツだが、それでは最高価格は?(2004年は約20000ドル)
    a.$9425 b.$13425 c.$18425 d.$22425
 7) カベルネ同様、平均価格はナパの$2660がトップ。
    この平均価格はどこの地区だろう。$959。

ピノ・ノアール
 8) これは難しい。最高価格($10375)のトップはどこだろう。
 9) これも予想外。最高価格($5000)のボトムは?
 10) ついでに最高価格($7500)の2位は?
 11) 平均価格($1393)のボトムは?
 12) 平均価格で、ソノマはナパに勝っただろうか?。

シラー
 13) 最高価格($6806)のトップは?

ジンファンデル
 14) 最高価格($6948)のトップは?
 15) 平均価格($2280)のトップは?
 16) 最高価格($2500)、平均価格、両方ともボトムはサンタバーバラだが、平均価格はいくらだろう?
    a.$501 b.$701 c.$901 d.$1001

解答は、コメント欄に。全問正解者には幻ピノを進呈。
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by kissouch | 2006-02-17 06:47 | ヴィンヤード/vineyard

オーガニックと羊

去年帰国したとき、ある酒屋さんから日本ではオーガニックワインが美味しくて、よく売れていると聞いた。(本当に美味しいのだろうか?)

こちらカリフォルニアでは事情が違う。
誰も口には出さないが、カリフォルニアの醸造家はオーガニックワインと聞けば不味いワインを連想する。内々ではオーガニックワインは不味いワインの代名詞で、「オーガニックワイン? 」 「ペッ!」 と吐き出す仕草をする。「どうすればこれほど不味いワインができるんだろう?」と、冗談を飛ばす友人もいた。
しかし、こちらカリフォルニアでも農産物のトレンドはオーガニックなので、事情は少々複雑だ。
それ故、ワイナリーのマーケテイング・コンセプトは「ブドウ栽培はできるだけオーガニックで、でもオーガニックワインとは名乗らない。」って言うところだろうか。

こちらソノマでは梅と桜が競うように咲き始め、もう春の陽気である。そろそろ草刈りの準備を始めなければならない。数年前から機械に代わって羊を使かっての草刈りをするワイナリーが現れだした。ふつうの羊は背が高すぎ、ブドウの葉や芽まで食べるので使用できない。そこでミニチュアの羊、ベビードール・シープが使われる。この羊を使うのには、草刈りだけでなくもう一つの理由がある。
春とともにワイナリーへの観光客が増えてくるが、このベビードール・シープは観光客に対して「見てください。私たちのヴィンヤードはオーガニックですよ。」と、抜群の宣伝効果があるからだ。羊の愛想はあまり良くないが、観光客には大いにアピールする。
ついに去年からこのベビードール・シープのレンタル会社まで出現した。
レンタル料は1日1匹2ドルである。
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コヨーテから守るため、エレクトリックフェンスで囲む。
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電源はソーラ・パワー
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by kissouch | 2006-02-14 06:52 | ヴィンヤード/vineyard
当初、ヴィンヤード被害はそれほどひどくないように伝えられていたが、そうでもないようだ。特にナパのナパリヴァー沿いはひどいらしい。損害額の情報はいろいろあるので定かではないが、ナパだけでのヴィンヤード被害額は50億円ぐらいだろうか。
ローカル新聞に被害についてのコメントが載っていたので拾ってみた。

ピーター・モンダヴィ・Jr(チャールズ・クルーグ・ワイナリー)
「我々のヨントヴィルの畑はとりわけひどいダメージを受けた。ヴィンヤード全体が水没し、約6エーカーのブドウの樹が根こそぎ流されてしまった。」この畑では1エーカーあたり約1500本のブドウの樹が植わっている。
「畑は流されてきたガレキでゴミだらけだ。所有者は誰か知らないが、高級フレンチオーク樽もあった。畑を再生するのには多大な労力と時間と金がかかりそうだ。」

ブライアン・デル・ボンデイオ(マーカム・ヴィンヤード)
「周りの畑が冠水状態になり、数個の空樽がブドウの樹の周りを泳いでいた。」

ボブ・リトル(シルヴァーオーク・セラーズ)
「3フィートほど水につかったが、ワインには影響はなかった。従業員総出で掃除した。」

カート・ヴァンジ(サドルバック・セラーズ)
「セラーが3フィート以上の水につかった。あまり驚くことではない。我々はコーン・クリークとナパリヴァーの間に居るので、いつもひどい目に遭っている。コンピューターと電話が水に浸かりだめになった。ステンレススチールのタンクが水に浮かんでいたが、少しのダメージですんだ。」

フィル・ビロドー(グルギッチヒル・セラーズ)
「ひどい嵐だったが我々のヨントヴィルの畑は冠水しなかった。何故なら我々はバイオダイナミック農法を実践してるから。」  (座布団1枚!)

ピーター・マックレア(ストーニヒル・ヴィンヤード)
「畑は嵐に耐えて何もなかった。スプリング・マウンテンでは大きな問題は何もないようだ。」

この洪水の数日後、某有名なワイナリー関係者がマスコミに語っていた。
「・・・・ブドウの樹は水に浸かった方が良い。どこかの国ではフィロキセラを駆除するのに2週間畑を水浸しにしている・・・・」

?????
フィロキセラは30日間水中に入れておいても死なないのだが・・・

3 days later、 after rain storm
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by kissouch | 2006-01-13 13:35 | ヴィンヤード/vineyard

New Year's Flood in Sonoma/Napa

日本では「雪」に悩まされているそうだが、こちらソノマ、ナパでは「雨」だ。クリスマスから正月にかけてレインストームが襲った。ソノマではロッシアンリヴァー下流に位置するグアンヴィルが、ナパではナパリヴァー下流のナパシティーが大洪水に襲われた。ニュースで取り上げられているのは家屋の浸水だが、私たちが気になるのはヴィンヤードだ。幸い私のヴィンヤードは丘の上のヒルサイドなので水に浸かる心配はないが、土砂崩れがおきないようにヘイを撒いたり、側溝の掃除とかに気を配った。
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ロシアンリヴァーの川沿いには素晴らしいピノノアールを生み出す畑がたくさんあるが、川のすぐ近くにある畑はほとんど冠水/水没している。ナパのヴァレーフロアーも同じような状態だ。水が早く引けば問題はないが、このままの状態が長引けばブドウの木の根が腐ってきたり、ウイルスやバクテリアがブドウの樹に侵入して病気を引き起こしたりする。
天気予報では今週で峠を越すといっていた、がどうだろう。
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サンタローザからフォレストヴィルに抜ける道、グアンヴィルロードを通っていると突然目の前に大きな湖が現れた。デリンガーワイナリーから500メートルほど手前のところである。夏は小さなクリークでその周りは野菜畑に使われいるのだが、この雨のためにすっかり様相が変わった。しかし遊び心に長けてるアメリカ人、この大洪水を逆手に数人がカヤッキングを楽しんでいた。

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by kissouch | 2006-01-03 05:01 | ヴィンヤード/vineyard

オーガニックって?

ハーベストが終わり12月になると、ワイナリーもヴィンヤードも人の気配がなくなり静かになる。セラーワーカーもヴィンヤードワーカーもクリスマスにあわせて休暇を取るからだ。私も2週間のクリスマス休暇があるので、スキーにでも行きたいところだが、10日間はヴィンヤードで働かなければならない。この時期は疲れたブドウの樹に栄養分を与えるため堆肥を撒く。堆肥はオーガニックであるが、この場合のオーガニックって言うのは結構曖昧だと思う。この堆肥は牛糞が主であるが、これら放牧されている牛はオーガニック的に育てられたのだろうか?<<獣医からのワクチン等はどうだろう?>>  食用となる草はもちろんオーガニックでなければならないが、その牧草のためにスプリンクラーでまく水はどうだろう? クロリーンが混ざっていてもオーガニックと呼べるのか? いろいろ疑問がわいてくる。ブドウに関しては定義があるが、堆肥に関してはわからない。

昨年帰国したとき、ある酒屋さんがフランスのオーガニックワインが美味しくてよく売れると言っていた。ブドウの成熟期にはほとんど雨の降らない乾燥したカリフォルニアでもミルデュー などのカビの発生には神経を使う。こちらに比べ雨も多く湿度も高いフランスでは、オーガニックと呼ばれるブドウはカビの発生をどのように防いでいるのか。
調べてみると、オーガニックと呼ぶことのできるブドウ(ワイン)に散布してもよい農薬の項があった。  <<オーガニックに農薬??>>   昔から使われている「ボルドー液」は使ってもよいらしい。ボルドー液の主成分は銅だ。いままで「オーガニックの銅」って聞いたことはなかったが。。。
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冬枯れの幻ヴィンヤード
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by kissouch | 2005-12-16 08:16 | ヴィンヤード/vineyard

2005vintage



2005年ハーベストも、やっと終盤に近づいた。
今年はとても長いハーベストで、さすがの私も少々疲れ気味だ。
ナパ、ソノマには ヴィンクオリー、ワインラボ、ETS、エノロジクス、といったワイン専門のラボ(研究所)がある。
最初の三ラボはワインの分析が主な仕事だが、エノロジクスは少々違っている。彼らはワインの分析もするが、それよりも「契約ワイナリーに醸造のアドバイスをすることによってパーカーやスペクテイターで90点を取らせる。」ことを請け負っている。説明すると話は長くなるが、タンニン、フェノールやアントシアニンのレベルの相関関係を割り出して、それをもとに高品質のワインを作り出す。
このエノロジクスが7月早々、「今年はワーストヴィンテージだ。」と声高らかに断言した。
「あの98年の再来だ。」と。
春に雨が多かったこと、6月の開花時には雨にたたられたことなどで、誰もがそうだな、と変な納得した。
ところが、7月、8月、9月、10月と雨は全く降らず、「暑からず寒からず。」とブドウの熟成にとって理想的な日が続いた。初期の予想から一転して、「今年のワインは素晴らしい年になるだろう。」と私は予測する。
当のエノロジクスも「素晴らしい99年のようになるだろう。」と訂正した。
しかしピノノアールには厳しい年で、ロシアンリバー、ソノマコーストでは20%~80%の収穫減。品質もバラツキがあるようだ。
私の畑では収穫量は20%減だが、今年はブドウの房が一回り小さく、高品質のワインを期待している。
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by kissouch | 2005-10-20 13:51 | ヴィンヤード/vineyard

ハーベスト2005

10月3日朝6時、薄暗がりの中、幻ピノ・ノアールのハーベストが始まった。
総勢26名のメキシコからの季節労働者が次々とぶどうを切り取っていく。
カリフォルニアではぶどうの房を切り取るのに小さな”鎌”を使うのが一般的である。剪定ハサミより鎌の方が早く摘め、手が疲れないと効率的なためだ。しかし熟練していないとブドウを切り取るときに房を強く握りしめ、ブドウを痛めてしまう。特にピノ・ノアールはカベルネやシラーに比べ皮が薄くとてもデリケートで壊れやすい。そのため幻ヴィンヤードではハサミを使うことにした。一部ワーカーから不満の声が聞こえたが、ブドウのクオリテイーが最優先であること説明し、納得してもらった。
午前10時には収穫はすべて終わり、今年は理想的なハーベストだった。
昼を過ぎると気温が上昇し、ブドウの温度が上がると微生物の活動が活発になるので、どうしても涼しい間に収穫を終わらせたいのが醸造家の本音だ。

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by kissouch | 2005-10-03 06:51 | ヴィンヤード/vineyard