UCDavis の最新情報(3)
2008年 04月 01日
3) You are what you eat: Substrate availability affects Brettanomyces Aromas
Lucy Joseph @ UCDavis
Brettanomyces--この日本語がない。あるいは見つからない。(腐敗酵母と書いてあるワイン書もあるが、正確にはソウではない。)
英語読みでは、ブレタノマイシス、あるいはボタノマイシスとワイン関連の本に書かれている。何人かのアメリカ人ワインメーカーに、普通に発音させてみると、ブレタ より ボタ に近いのでボタノマイシスにしておこう。
仏語読みでは、ブルタノミセスが多い。
このボタノマイシスと言うイースト。。。ボタノマイシスは長いので、通称=ブレット と言われる。
日本のワイン関連の本や雑誌ではあまりお目にかからない。
見つけても、 上記の腐敗酵母=ワインに不快なにおいをもたらす 程度だ。
しかし、私のブログを読んでいただいているワイン愛好家には是非覚えていただきたい言葉だ。
なぜなら、ワイン醸造に携わっている人々の会話では、このブレットと言う言葉が頻繁に出てくるからだ。
コントロールするのが難しいので、ブレットを嫌うワインメーカーは多い。しかし、中には”ブレットファン”と呼ばれるブレット愛好家のワインメーカーもいる。
ではこのブレットはどのようにワインに影響するのか?
ワイナリー内部、備品を清潔に保ち、適度のSO2をワインに添加していれば、たとえブレットが入り込んだとしても大きく増殖することはない。
しかし一度ワイン内に入り込むと、4-EthylPhenol(4EP) や 4-EthylGuaiacol (4EG) を発生させる。そして、その4EPや4EG はいろいろな香り(臭い)に”化ける”。
すこし例を挙げてみると、
馬、馬の汗、馬小屋、干草
なめし皮、ぬれた皮
濡れた犬
ねずみの糞
野生動物の糞尿
猫の尿
薬、化学薬品
バンドエイド
ヨードチンキ
煙
タバコ、シガー
牧草、大地
野生の花 など。
(心当たりのある方もいるだろう。)
数年前参加したボタノマイシスについてのセミナーでのこと。
パネラーの一人のリサーチによると、
子供の頃の体験が、”各個人が知覚するブレットの臭い”に反映されると言う。
どういうことかというと、
そのパネラーは子供の頃よく怪我をした。
そのため、知らない間に、彼はバンドエイドや消毒薬の臭いに敏感になった。
ゆえに、4EP、4EG の値が高いワイン中に、そのバンドエイドや薬品の臭いを見つけることが多々あるらしい。
私の友人のワインメーカーは、ブレットの臭いは、
「小便で濡れた布団や毛布の臭い。」
と断言する。
と言うことは。。。。。。。。。。
では、ブレットがワイン中に存在するかどうか、を調べるには。
顕微鏡を覗けばわかるのだが、バクテリアやイーストを特定できる眼を持つのは、かなり熟練したマイクロバイオロジストだけだ。
私もいろいろクラスをとり勉強したが、自身をもってこれはボタノマイシスだ、言い切れない。
数年前、ワインサンプルをナパとソノマの2箇所の専門ラボに送った。
ソノマのラボからは、ワイン中にブレットが入っているとレポートが来た。
しかし、ナパのラボは入っていない、だった。
ボタノマイシスを特定するのには専門家でも間違う。
それ以来、4EPと4EGの数値を頼りにしている。
400ng/mLがスレスホールドで、このあたりからソムリエさんやワインをよく飲んでる女性には知覚できる。
(女性のほうが男性より嗅覚がよい)
しかし、このあたりの数値では、いわゆる複雑な香りとなり、ワインの批評家から歓迎される事が多い。
うまくこのあたりの数値で止められればそれに越したことはないが。。。。
フランスでもアメリカでも、それらをまったく気にしない醸造家もいる。(あるいは知らない?)
一度、下水道とスカンクの臭いが重なった、とてもひどいローヌワインに出くわしたことがある。
興味本位で、4EPを調べると 2000ng/mLを越えていたのを覚えている。
(いままでこのような高い値は見たことがない。)
また反対に、4EP値が800ng/mLぐらいの5級のボルドーワインが、
かすかなブレット臭とフルーツ香において絶妙のバランスを作っていたこともある。
ボタノマイシスが絶対「悪」とは言い切れない。
ルーシーのクラスは、上記のことをより詳細に分析していた。
難しい化学用語ばかりなので省略。
ただ、ワイン中の substrate と chemicaltype によっては、
悪臭だけでなく、
シトラス
ミント
甘い花の香り
スパイス など
予想外の香りも発生するらしい。
2003年ヴィンテージ
Maboroshi Cabernet Sauvignon Napa Valley
を、リリースした。
このワインには 約380ng/mL の4EP が含まれている。
このワインを飲む機会があれば、
「ちょっとブレットが入ってるね。」
などの会話を楽しんで欲しい。
質問などはemailで。。。。
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賛同される方はコピーしてあなたのブログに載せてください!
Lucy Joseph @ UCDavis
Brettanomyces--この日本語がない。あるいは見つからない。(腐敗酵母と書いてあるワイン書もあるが、正確にはソウではない。)
英語読みでは、ブレタノマイシス、あるいはボタノマイシスとワイン関連の本に書かれている。何人かのアメリカ人ワインメーカーに、普通に発音させてみると、ブレタ より ボタ に近いのでボタノマイシスにしておこう。
仏語読みでは、ブルタノミセスが多い。
このボタノマイシスと言うイースト。。。ボタノマイシスは長いので、通称=ブレット と言われる。
日本のワイン関連の本や雑誌ではあまりお目にかからない。
見つけても、 上記の腐敗酵母=ワインに不快なにおいをもたらす 程度だ。
しかし、私のブログを読んでいただいているワイン愛好家には是非覚えていただきたい言葉だ。
なぜなら、ワイン醸造に携わっている人々の会話では、このブレットと言う言葉が頻繁に出てくるからだ。
コントロールするのが難しいので、ブレットを嫌うワインメーカーは多い。しかし、中には”ブレットファン”と呼ばれるブレット愛好家のワインメーカーもいる。
ではこのブレットはどのようにワインに影響するのか?
ワイナリー内部、備品を清潔に保ち、適度のSO2をワインに添加していれば、たとえブレットが入り込んだとしても大きく増殖することはない。
しかし一度ワイン内に入り込むと、4-EthylPhenol(4EP) や 4-EthylGuaiacol (4EG) を発生させる。そして、その4EPや4EG はいろいろな香り(臭い)に”化ける”。
すこし例を挙げてみると、
馬、馬の汗、馬小屋、干草
なめし皮、ぬれた皮
濡れた犬
ねずみの糞
野生動物の糞尿
猫の尿
薬、化学薬品
バンドエイド
ヨードチンキ
煙
タバコ、シガー
牧草、大地
野生の花 など。
(心当たりのある方もいるだろう。)
数年前参加したボタノマイシスについてのセミナーでのこと。
パネラーの一人のリサーチによると、
子供の頃の体験が、”各個人が知覚するブレットの臭い”に反映されると言う。
どういうことかというと、
そのパネラーは子供の頃よく怪我をした。
そのため、知らない間に、彼はバンドエイドや消毒薬の臭いに敏感になった。
ゆえに、4EP、4EG の値が高いワイン中に、そのバンドエイドや薬品の臭いを見つけることが多々あるらしい。
私の友人のワインメーカーは、ブレットの臭いは、
「小便で濡れた布団や毛布の臭い。」
と断言する。
と言うことは。。。。。。。。。。
では、ブレットがワイン中に存在するかどうか、を調べるには。
顕微鏡を覗けばわかるのだが、バクテリアやイーストを特定できる眼を持つのは、かなり熟練したマイクロバイオロジストだけだ。
私もいろいろクラスをとり勉強したが、自身をもってこれはボタノマイシスだ、言い切れない。
数年前、ワインサンプルをナパとソノマの2箇所の専門ラボに送った。
ソノマのラボからは、ワイン中にブレットが入っているとレポートが来た。
しかし、ナパのラボは入っていない、だった。
ボタノマイシスを特定するのには専門家でも間違う。
それ以来、4EPと4EGの数値を頼りにしている。
400ng/mLがスレスホールドで、このあたりからソムリエさんやワインをよく飲んでる女性には知覚できる。
(女性のほうが男性より嗅覚がよい)
しかし、このあたりの数値では、いわゆる複雑な香りとなり、ワインの批評家から歓迎される事が多い。
うまくこのあたりの数値で止められればそれに越したことはないが。。。。
フランスでもアメリカでも、それらをまったく気にしない醸造家もいる。(あるいは知らない?)
一度、下水道とスカンクの臭いが重なった、とてもひどいローヌワインに出くわしたことがある。
興味本位で、4EPを調べると 2000ng/mLを越えていたのを覚えている。
(いままでこのような高い値は見たことがない。)
また反対に、4EP値が800ng/mLぐらいの5級のボルドーワインが、
かすかなブレット臭とフルーツ香において絶妙のバランスを作っていたこともある。
ボタノマイシスが絶対「悪」とは言い切れない。
ルーシーのクラスは、上記のことをより詳細に分析していた。
難しい化学用語ばかりなので省略。
ただ、ワイン中の substrate と chemicaltype によっては、
悪臭だけでなく、
シトラス
ミント
甘い花の香り
スパイス など
予想外の香りも発生するらしい。
2003年ヴィンテージ
Maboroshi Cabernet Sauvignon Napa Valley
を、リリースした。
このワインには 約380ng/mL の4EP が含まれている。
このワインを飲む機会があれば、
「ちょっとブレットが入ってるね。」
などの会話を楽しんで欲しい。
質問などはemailで。。。。
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by kissouch
| 2008-04-01 03:55
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