カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

UCDavis の最新情報(1)

先週、UC Davis のクラス「Recent Advances in Viticulture and Enology」に参加した。UCDavisで、また「Recent Advances」と言う言葉が使われているので、世界で最も進んだワイン醸造およびブドウ栽培の情報が得られると期待して、多くのワインメーカーやヴィティカルチャリストが出席していた。

わたしの家から Davis まで車で1時間40分 かかる。
当日8時から登録が始まるので、朝の渋滞などを考慮すると2時間前、6時に家を出なければならない。
2週間ほど前にセーヴィングタイムが始まり、朝早く起きるのはつらい。
しかし、興味あるテーマが続いているので見逃せない。
まだ真っ暗な早朝、眠い目をこすりなら友人とデイヴィスに向かった。


1) Recognizing and Eliminating Sulfur Taints With Taint demonstration
Linda Bisson  professor @ UCDavis

リンダのクラスは、私がカリフォルニアに来た当時何度かとった。
もう15年ほど前なので当然なのだが、
ダークブロンドだった髪の毛が半分グレーになっていた。
しかし、彼女のテンポのよい話方は変わっていない。
今回のテーマは SulfurTaint(イオウ化合物によるワインの汚染。日本では”還元臭”という言葉が使われているが、あまり適切な言葉とはいえない。)

ワインを開けたとき、イオウ臭(温泉や腐ったタマゴ)を経験した方がいると思う。
ワインのフルーティーな香りを楽しもうとしているときに、いきなりこのイオウ臭が来るとガッカりする。特に、ワインが呼吸できないスクリューキャップではこの問題が多い。
ワインに空気(酸素)をなじますと消えるのが普通であるが、重症のワインは空気だけでは消えない。
どうしてワイン中にこのような臭いが発生するかというと、
発酵時にイーストにとって十分な食料(栄養分)がワイン中にないと、イーストが欲求不満を起こしてワイン中にイオウ化合物を発生させる。
初期は簡単なフォーメーションなので空気にさらせばたいてい消える。
しかし、時間が経つとそのフォーメーションは複雑になる。

H2S -> Dimethl sulfide -> mercaptan etc

複雑なフォーメーションになると、ワインと空気を混ぜただけでは消えない。
そして、フォーメーションが複雑になればなるほど、ワインのトリートメントも難しくなる。
(何もせずに、「これが自然ワインだ。」と豪語する方もおられるが。)

イオウ化合物を発生させやすいイーストストレインとさせにくいイーストストレインがあるのはわかっているが、リンダの推奨ストレインはUCD952だ。彼女のリサーチによると、このストレインはほとんどイオウ化合物を発生させないらしい。

また、ワインの樽熟成に、シュール・リーを使うワインメーカーが多い。
タンニンがより成熟し、ワインが深みを増す。しかし、ある一定の時期を過ぎると、ワインに不快なフレーバーつくことがある。アスパラや玉ねぎ、ニンニクだったり、腐った肉の臭いだったり。
これらは、やはりイーストからのイオウ化合物に由来する。
ゆえにラッキングのタイミングを見極めるのが大切だ。

リンダの影響を受けたわけではないが、昨日、2007年ヴィンテージのラッキングを終えた。
H2Sはまったくなく、非常に素晴らしい香りだ。


にほんブログ村 酒ブログ ワインへ

オリンッピクスポンサー不買運動に参加中!
[PR]
by kissouch | 2008-03-25 01:49 | wine link