カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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オーガニック 6       

「テロワールには、もちろん 人(醸造家、栽培家) を含みます。
葡萄栽培、ワイン醸造に大きな影響を与えるので。」
と、ワイン愛好家からメールを頂いた。
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私は逆で、
「大きな影響を与えるので、テロワールから除いたほうがいいのでは。」と答えた。

また、一人の人間がワイン作りに携われる期間はどんなに長くても50年が限度だろう。
何万年、何十万年かかって形成された、”大地”と比べるにはあまりにも短すぎる。

しかし、ガロのような大きなワイナリーは、ヴィンヤード造成時に地形おも変えてしまう。
西向きの斜面が、知らない間に南西向きのヴィンヤードに変わっていたりする。
そして、造成時には、大量の化学肥料を土壌に混ぜているので、土質も変えてしまう。
そういう意味では、
ヴィンヤード造成時にブルドーザーを運転する土木業者をテロワールに加えるべきか?

さて、本題に戻って、N(窒素)、P(リン)、K(カリウム)が植物の生長に必要な3要素だが、
化学肥料と呼ばれるものには、これらの各要素が植物の成長を助けるのに最も効率のよい割合で配合されている。つまり、気象条件や地勢やクローンなどを考慮に入れなければ、化学肥料で育ったぶどうはどれも同じような味わいになるのではと思われる。

それではオーガニックで育った葡萄はどうだろう。
ヴィンヤードの土壌に棲むマイクロ・オーガニズムが葡萄の樹の成長を促す栄養素を作り出す。雑多な微生物の働きは均一ではないので、当然上記3要素の比率も変わり、またマイナー要素のFe や Mgや Znなども影響して、葡萄の味にいろいろな個性が現れる。


「このワインはとてもミネラル感がある。」
という、ミネラルは何処から来るのだろう?
土中のFeやMgなどが地下水に溶け、その水分を葡萄の樹の根が吸い上げ、葡萄に蓄積される、とズーット昔読んだワインの本に書いてあった。
なるほど、と納得した。

しかし、ここ10年ほど微生物と付き合いだして、
ワインなどに現れるミネラル感は土中から来るのではなく、バクテリアなどが作り出すものではないかな、と感じている。

私はワイン醸造はもちろん、畑仕事も当然自分でする。
そのうえ、ワインの分析も自分でする。
(この3仕事をこなす醸造家はほとんどいないだろう。)

あるとき他のワインメーカーに頼まれて、ヴィンヤードの土壌の分析をした。
1メートルぐらいの穴を掘り、その畑のいろいろな場所から土を採取して分析した。
面白いことに各穴ごとに鉄分などの無機質の割合が大きく異なり、その上ワイン中の無機質とも全く違う値が出た。つまり、土中の無機質よりも、微生物が作り出した無機質が根によって吸収されているのでは、と推測できる。


テロワールの『地質』という部分は、実はマイクロ・オーガニズムではないのだろうか?

(ちょっと極端な仮説になった。)


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by kissouch | 2010-06-15 03:31 | ヴィンヤード/vineyard