カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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オーガニック 3   

「オーガニック2」を読んで、日本のワイン愛好家から、

「シャルル・ルソーが目指したクロ・サンジャックと、当時、市販されてたクロ・サンジャックとはどのような違いがあったのか。」と質問があった。

残念ながら、当時”ワイン駆け出し”であった私には、到底理解したとは言いがたいのでコメントは差し控える。
でも、どうしてそのような違いがあったか私なりに推測してみた。
極端ではあるが、否定もできないと思う。
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1991年のこと。
最後のハーベストが終わった次の日、収穫を祝って近くのレストランでパーティーが催された。
息子のエリックが、
地下のセラーから、無ラベルの85年、86年、87年のクロ・サンジャックをレストランに持ち込んだ。
各ヴィンテージを飲み、
私だけでなく、誰もが「なんと美味しいワインか!」と感銘した。

そして、
「それでもシャルル・ルソーは納得してない。
何故だろう?」と、思いをめぐらした。

クロ・サンジャックの畑で、彼は特に、マイクロ・オーガニズム(土中微生物)のことを語っていた。
(最近でこそ、土中の微生物の話をする人が増えたが、当時、そのような話をする人はいなかった。)



葡萄畑では、牛糞などのコンポーストをハーベスト後に撒く。
そして、バクテリアなどの微生物がそのコンポーストを分解して、植物の成長に必要な N(窒素) や P(リン) や K(カリウム)、あるいはその他のミネラルを作る。
しかし、除草剤や害虫駆除の農薬を撒けば当然微生物も死に絶える。(死なないという意見もあるが。)
微生物がいなければ、コンポーストを畑に撒いても分解されないので、葡萄の樹の栄養分にはならない。
そうすると化学肥料を使わなければならない。
化学肥料を使うと、有機物がないので有用な土中微生物は増加せず、自然と減少する。
そうすると、歓迎されない病原菌などの細菌がはびこる。
それを防ぐために、また農薬を、と。。。
まさに、悪循環に陥ってしまう。(鳩山サンのように)


少し話はそれるが。
1997年だったと思うが、ナパ・ソノマの多くのワイナリーでスタック・フェルマンテーション(発酵が途中で止まること)に見舞われた。そのことについて、いろいろセミナーが開催された。
そのうちのひとつに参加し、原因は3つあるといわれた。
ひとつは、イーストの栄養分不足。
二つ目は、温度管理。
3つ目は、アルコール・トクシック。(14%以上のアルコールになると、イーストにとって毒になる。)

上記2つは人間がコントロールできるが、アルコールは難しかった。
某有名ワイン批評家が高アルコールワインが好きだったので、誰もが高アルコールワインを作りはじめた頃だ。
その後、ワインメーカーの誰もがアルコール・トクシックの問題に不安があったが、
心配無用、新しい世代のイーストは高アルコールに対して耐性をつけていた。
現在では16%を越えるワインも多々ある。
乳酸バクテリアもそうだ。
14%を超えると乳酸発酵が難しかったが、今ではやはり16%でもOKだ。

つまり、微生物はゼネレイションサイクルが早いので、進化も早い。

続きは次週に。。。。
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by kissouch | 2010-05-05 02:08 | ヴィンヤード/vineyard