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カリフォルニアのソノマでワイン醸造に携わって早くも15年。「日本人醸造家の悪戦苦闘!」を綴ったワイン日記


by kissouch
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暴風雨 と ゴーファー と バイオダイナミック その2

さて、ゴーファーを退治する方法だが。





アメリカらしい手っ取り早い方法は、
ゴーファーを爆殺する手荒い方法だ。
トンネル出入り口一つだけを残して、残り全ての穴を塞ぐ。
そこにプロパンガスを流し込み、そして火をつけてトンネル内で爆発を起こす。

大きなワイナリーはこの手法を使う。
しかし、あまりにも残酷なことと、
爆発音が凄いので近隣から苦情が来ることもあり、
小さなワイナリーや葡萄栽培農家はこの方法を避ける。

また硫黄ガスを流し込んだり、
毒をもったりする方法もあるが、あまり効果はないようだ。

私たちが使うのは、トラップ(罠)を仕掛けて1匹ずつ捕まえる。
ゴーファーも賢いので、少し熟練しないとなかなか捕まえることができない。

レベッカは、ゴーファーガイと呼ばれる「ゴーファー捕りの名人」からレッスンを受けた。
このゴーファーガイは、ヴィンヤードオーナーの間ではかなり有名な人物だ。

十年以上前、
彼は、
「ゴーファー1匹捕まえるに当たって、1ドル払う」
と言う契約を某ワイナリーと結んだ。
なんと驚くことなかれ、
「1ヶ月の間に8000匹余捕まえた。」
と言う伝説がある。

ところで、バイオダイナミック農法に、ゴーファーの対処の仕方があった。
ゴーファー退治に苦慮していた私には、とても興味があった。
どうするかと言うと、とてもシンプルで、
「ゴーファーを捕まえ、焼き殺し、その灰をヴィンヤードに撒く。」と言うことだった。
駄目で元々と、夏に10匹ほど捕まえた。
上記の処理をするのには、
バイオダイナミックのカレンダーに11月と記されていたので、それまで保存しなければならない。
他のワイナリーでは専用の冷凍庫で冷凍してると聞いたが、
私はゴーファーの死体専用の冷蔵庫など持っていない。
私たちの食品を入れる冷凍庫を使うわけにも行かないので、
アルコール漬にした。
(保存方法は限定されていない)

そして11月になった。
処理するに当たって、もう一度バイオダイナミックの方法を復習した。
なんと、1匹ずつ、皮を剥がさなければならない。
その上、内臓も取り出さなければならない。
レベッカに、
「お前やれよ。」と言ったが、もちろんやらない。

ここであきらめるわけには行かないので、
それでは自分で。。。と、思ったが、これだけはちょっとできない。
仕方がないので、「ここは妥協して。」と、そのまま燃やした。

そして燃やしたゴーファーの灰を畑の1区画に撒いた。

さてさて、皮を剥がさなかったので、効き目はどうだろう?

ゴーファーが姿を現す春先が待ち遠しい。

続くにほんブログ村 酒ブログ ワインへ
by kissouch | 2010-02-02 07:17 | ヴィンヤード/vineyard